『GKBR』は、
2億年前から生息しており非常に深い歴史を持つにもかかわらず
シーラカンスやカブトガニと違って、人類から注目の目で見られることは全く無い可哀想な生物であるが
誰も気にしない。
もっとも、着目しない者が全くいないわけではない。
製薬会社ではこの『GKBR』のおかげで大量の利益を得ているため、
毎年死んだ『GKBR』のための供養を行っているほか、自社の工場で100万匹(カサカサ×106)以上の飼育を行っている。
決して想像してはならない。
また、大胆にもスーパーで品評会を催す命知らずもいる。
正直バカとしか言いようがない。逃げたらどうするつもりだ?彼らにとってはカブトムシと同種らしいが、想像できない。
しかし、太古から生き抜き、ブ〜ンと羽ばたく恐ろしき姿と対人威嚇能力は『無敵』と呼ぶにふさわしい。
また日本国内の地方によっては幸福や繁栄をもたらす昆虫として、神扱いされている地域も僅かながら存在する。
しかしこれは戦前の地主がライバル地主を没落させるために敵の小作農の家にばらまいて小作人の精神を破滅に追い込 み、
結果としてライバルをつぶすことで競合相手を少なくするという
現代でも稀にみられる高等な経営戦略が起源その神話の発端であり、
複雑な利害関係から発生した実利に基づく身も蓋もない話である。
『GKBR』は寒冷地が苦手である。
しかし、近年『GKBR』が生息しない聖地北海道も、年中暖房のきいた建物などで発見されている。
『GKBR』から逃れるための手段として知られていた北海道への移住も、過去のものとなるのではないかと危惧されている。
残る聖地富士山頂上などでは、まだ生息は 確認されていない。
驚くことに東南アジアの地域や一部先住民たちはこいつを食べるということである。
さらに、中国ではこいつを漢方薬として扱っているからおどろきである…効果はお察しください。
そのほか体構造が原始的であるため戦争大好き国では実験や兵器としても使われている。
だが、実は大陸産のGKBRは小さく茶色いので、現地の人に言わせると、さほど怖くないことが多いらしい。
日本のGKBR事情を知らずに
日本のGKBRの真っ黒で大きなボディを目にした瞬間、
それまでのどんな生活で出会った恐怖よりも怖かったと悲鳴を上げた人も実際いる(実話)。
日本はよく自然環境に恵まれる が災害が多いといわれているものの、
その災害の一つが日本のGKBRであることは間違い無い。
またGKBRは人類の住む部屋に忍び込み「○○○○ホイホイ」という場所に行くこともある。
そんなアシダカグモはGKBRの一番の天敵として知られた生物である。
多数のセンサー・レーダーを搭載し、機動性に置いてもGKBRを遥かに凌ぐため、
ひとたび軍曹の索敵範囲内に入ってしまえば GKBRに逃れる術は無い。
また非常に紳士かつ好戦的な性格をしており、目に付いたGKBRは食事もそっちのけで片っ端から狩りまくる。
このため軍曹が 2~3匹家に駐屯すればGKBRは半年と経たず家から完全に駆逐されるという。
そしてGKBRが全滅したことを確認した軍曹は、
原住人に謝礼を求めるでも なく颯爽とその家を立ち去り次の戦場へと向かうのだ。
さらに、意外にも軍曹は基本臆病でシャイなので、自分から人を襲うことはない。
万一襲い掛かったところで対人用の毒など装備していないから、
襲われた奴がGKBR野郎でもない限り負傷することはない。
GKBRと違い、原住人の食料には全く興味を示さないうえ、
軍曹は自ら のツバ(殺菌能力の強い消化液)でおみ足を磨き上げる趣味があり、
その肉体は清潔に保たれているのだ。
そう、まさしく軍曹はGKBRに苦しむ人類を助けに 現れた正義の味方(益虫)である。
だが、
対GKBR用の殺傷力に特化したその姿は、皮肉にもGKBRに負けず劣らずグロテスクな風貌となってしまった。
しかし、恐るべきはアシダカさんの姿ではなく、そのような犠牲を払わぬ限り圧倒できぬGKBRの生命力である。
GKBRが神の失敗作だとすれば、
アシダカグモはその失敗作に苦しめられている人類を救うために神が作り上げた救済措置であろう。
だが、神は考え た。
GKBRは本当に失敗作だったのだろうかと。所詮人類もGKBRのような存在なのではないかと。
故に、神はアシダカグモの姿を醜い姿へと作り上げた。
そう、人類の天敵であるGKBRを抹殺し、人類には決して危害を加えないアシダカグモを、人類はどう扱うかを試したのである。
結果は、神の危惧した通りとなった。
人類は「見た目が醜い」との理由だけでアシダカグモを『不快害虫』に指定し、迫害を繰り返した。
アシダカグモは人類の味方として迎え入れてもらえなかったのである。